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クラスにひとりはいるタイプと言うより、隣のクラスにいる、なんだか気になるヤツ、という感じ。

 

みんなで悪ふざけをしていると決まってひとりだけ怪我して場をしらけさせるような。先生に見つかって、みんなで逃げるんだけど必ず捕まっちゃうひとり。で、あとでみんなが怒られる。

 

でもみんなそいつのことが好きで、毎回誘う。来れないときだって、みんな、あいつも来てればなって。

 

年齢も職場も一緒だったこともあり、どことなくずっと昔から知っていたかのような、同級生だったかのような錯覚が起こる。話を聞いていると、入った時期は違えど、同じ専門学校に入学していたりする。偶然。

 

あの時からずっと変わらず、そのままみんな一緒に大きくなって。同じ業界で仕事がんばってる。時には切磋琢磨して、時には励まし合って。時にはふざけて。

 

決して裏切らない感じの。不器用かもしれないけれど、土壇場になったら一番歯を食いしばって近くにいてくれるような。そんなデザイナーだなって思った。あれ、
褒めてるのか、けなしてるのか、わからないな。

 

PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)

 

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吉村 まさかのPARK MAGAZINEですね。

 

加藤 そうだね(笑) 独立して、こどもも産まれて、そろそろ人生を振り返ってみるのはどうかな? と。  

 

吉村 語るような人生じゃないですよ…。

 

加藤 暗い(笑)

 

吉村 正直、インタビューとかって恥ずかしいっす…。ホント、面白くないと思いますし、そういうの苦手なんで、辞退したかったです。本当は。

 

加藤 面白くなくてもいいよ。

 

吉村 えええ…。マジですか…。

 

加藤 うん。とりあえずいつも肩書きの話をしてるんだけど、吉村くんはグラフィックデザイナー?

 

吉村 グラフィックデザイナーですかね。手を動かしていたいっていう気持ちがあって。

 

加藤 デザイン関係でもアートディレクターってなると、手だけじゃなく、ひとを動かして自分のイメージをかたちにしていく印象があるね。

 

吉村 そうですね。アートディレクターってなんか自分には規模が大きい感じがするというか、自分の場合もっとこじんまりでもいいから、自分の手でフィニッシュまで持って行ける仕事をコツコツとていねいにしていきたいなって想いがあって。手が届いて目が行き届く仕事。ひとに頼むとしても「近い」というか。

 

加藤 吉村くん、鼻息あたる…みたいな(笑)

 

吉村 隣にいてほしいっていう意味ではないです(笑)

 

加藤 だね(笑)

 

吉村 もちろん自分でやる以上、ディレクションもしますからね。アイデアの提案もしますし、専門的な作業をひとにやってもらう時は、そのクオリティも意識します。だから、肩書きがどうこうというより、自分が把握しきれないほどたくさんのひとと仕事をするというイメージが今はないという感じですかね。この先はわからないですけどね、今の所はそうです。

 

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加藤 そもそもなぜデザイナーになろうと思ったの?

 

吉村 そこ、曖昧なんすよね…。

 

加藤 地元どこだっけ?

 

吉村 生まれは東京ですけど、幼稚園の時に千葉に引っ越して、小学校でまた東京に引っ越すんですよね。で、中学は普通だったんですけど、高校がちょっと変わってて、高専っていう5年生の高校で、卒業すると資格としては短大卒扱いに。とくにやりたいことがなかったので、就職率も高くて、親も安心できるしってことで。

 

加藤 何の専門だったの?

 

吉村 学校自体は航空高専ってところで、航空科があるっていうのが有名なところだったんですけど、ぼくは機械科だったんで、飛行機にはまったく関係なかったですね。溶接とかしてました。溶けた鉄を型に流し込んだり。

 

加藤 すごい似合いそう(笑)

 

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吉村 普通の工業高校ですね。そのわりに進級がすごいシビアで、学年あがると、知らないおっさんがずっと進級できずに残っていたり、先輩と同じクラスになったり。自分もそんなに頭よくなかったんで大変でしたね。でも、そこ4年でやめちゃったんですけど。

 

加藤 え、なんで?

 

吉村 4年に進級できるかどうかのテストがあるんですけど、その当時、友達の間でスノーボードが流行ってたんですよね。で、テスト前なんですけど「行こうぜ」って誘われて。テスト前だし、やめておこうと思っていたんですけど、前回のテストがわりと良かったし、いま思えば最悪なことですけど、出来なかったらカンニングすれば良いかなって思って、行っちゃったんですよね。そしたら大事故起こしちゃって。

 

加藤 罰あたってるじゃん(笑)

 

吉村 内臓破裂。

 

加藤 重体じゃん。

 

吉村 テストすら受けれず。

 

加藤 留年決定。

 

吉村 いや、進級するたびに留年した先輩たちの悲惨な姿を見て来たんで、ああなるのはイヤだなと。クラスの同級生になじめず孤立して、だんだん学校に来なくなる先輩をたくさん見て来たんで…辞めまして…。で、ちょうどその頃、「STUDIO VOICE」とか「relax」とか読んでて、グラフィックデザイン特集とかも多かったんですよね。それ見ながら、こういうのやりたいなってずっとどこかで思ってはいたんですよね。そういう勉強がしたいなぁと。

 

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加藤 もともと絵が好きだったり? アート系に興味があったりしたの?

 

吉村 漫画が好きでしたね。アニキがいたんで、いろんな漫画見れてたんですよね。小学校まではずっと漫画を読んだり描いたりしてましたね。

 

加藤 中学は美術部とか?

 

吉村 いや、中学はサッカー部でしたね。とはいえ、別にうまかったわけでもなく、レギュラーと補欠の間を行ったり来たりしてて…。とくに頭がよかったわけでもないし、普通の…いや、普通以下ですね。甘酸っぱいエピソードも何ひとつなく。いじめられるわけではなかったですけど、かるく暗黒でしたね。灰色というか…。彼女がいるヤツとか、チャラチャラしてるヤツがすごく嫌いで…でもそういうやつに限ってサッカーうまかったり。なんなんすかね。自信があるんすかね、なんでもありだな…みたいな感じで。人種のちがいを見せつけられた気がして、すごく劣等感がありましたね。あの時、童貞かそうじゃなかったかで、人生ののびしろがぜんぜん違うというか…。

 

加藤 わかる(笑)

 

吉村 それで工業高校みたいなところに行っちゃったんで特にですよね。こじらせたというか。いろいろサボってた自分も悪いんですけど。

 

加藤 で、カンニングしようとして内蔵破裂でしょう。神様に見られてるねえ。

 

吉村 そうなんですよね(笑) ぼくって、神様に見られてる感ハンパないんですよ。昔から悪いことしたら絶対に見つかるんですよね。サボったりすると罰があたる。みんながバレなくても、自分だけバレたり。孫悟空の頭の輪っかみたいな。それで懲りて、悪いことはしないようにしようって意識してますね。

 

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加藤 そういえば内臓破裂のあとはどうしたの?

 

吉村 デザインの専門学校に行きました。当時、雑誌とかにバンバン広告出してて、有名だったところなんですけど、ただただ授業料が高くて…。オシャレを売りにしてた学校だったんですけど、上京したての田舎者しかいないっていう…ぼくが言うのもなんですけど…とにかくひどかったんですよね…。チャラチャラしてるやつしかいない…。何しに来てるんだっけ…って。だんだん行くのがイヤになって…。で、ある日、インターネットで自分の学校のこと調べたら「あそこはクソだ」みたいな書込みがいっぱいあって、そこで気づいたんですよね「入るとこ間違ったな…」って。すぐに辞めましたね。

 

加藤 2度目の挫折(笑)

 

吉村 で、親にも心配されながら、でももうここまで来たらデザイナーになりたいって思って。で、広告をバンバン打ってるような学校はダメだって思って、またネットでいろいろ調べたら、めちゃめちゃいいって言われてる学校が1つあって、そこに行くんですよね。2ちゃんねるのみんなが言うことに従った感じですね。

 

加藤 そこもダメだったらどうすんの(笑)

 

吉村 そこは入学試験があったんで、それが良かったなと。ダメなヤツは試験が落としてくれるから。入学さえできれば安心だと。

 

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加藤 逆に言えば落とされる可能性もめっちゃあるよね。

 

吉村 そうなんですよ(笑) だから短期の美術予備校に通って、その専門学校の対策問題を徹底的にやってましたね。

 

加藤 どういうテストが出るの?

 

吉村 平面構成(正方形の枠にいろいろな形を描いて模様を作る)を時間内に行うって言うテストですね。毎年その問題だっていうのはわかってたんで、とにかくそのテストばかりやってましたね。予備校の先生に「これなら絶対に大丈夫」っていわれるところまで何回も何回もやりました。先生も、その構成はもう大丈夫だから、息抜きにほかのもやっておいたら?って言ってくるんですけど、「は?」って。こっちとしては受からなきゃ意味ないからこのクオリティをもっともっとあげなきゃダメでしょうって思って、ほかのことはやらなかったんですよね。こっちは人生かかってるから。

 

加藤 やっと本気になった(笑)

 

吉村 でも、先生つってもそいつも学生なんすけど、何回も言ってくるんですよね。同じことばかりやらないで、たまには違う構成もやったら? って。でも一切、それには耳を貸さずに。外野の意見は無視してずっとやってました。1秒でも早くできるように。完成度が高ければ高いほど受かるって聞いてたし、それに作文もあったんで、少しでも苦手な作文に時間をあてたいって思って。家に帰ってからも親の声とか聞こえないように、ヘッドフォンで爆音でデスメタル聞きながらずっとやってました。ノイローゼになるくらい。色鉛筆も何本もなくなりましたね。

 

加藤 で、テストはどうだったの?

 

吉村 開始早々あっという間に平面構成は終わって、余裕もって作文に取りかかって、「よし終わった、これは受かったな。」と思ってひと息ついてあたりを見渡したら、みんな頭抱えてるんですよね。みんな試験対策ちゃんとしてなかったのかなって。みんなバカだなって。で、余裕ぶちかましてテスト終了後に喫煙所に行ったらみんながザワザワしてるんですよね。で、よくよく話聞いてみたら「今年、問題が変わってて焦りましたね」って。

 

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加藤 まさかの(笑)

 

吉村 いままで毎年毎年おなじ問題だって聞いてたから、もう思い込んでたんでしょうね。いつものテストにプラス1本線をくわえて構成せよってなってたらしく…なので完全に課題違反ですね。で、面接試験があったんですけど、試験管に「きみ、これ課題違反だよね」って。あ、終わったなと。

 

加藤 予備校の先生の言うこと聞いてたらよかったのに(笑)

 

吉村 いや、でも面接官が「ただ、これ違反だけど、異常にクオリティが高いからわからないかも」って(笑) で、受かったんですよね。課題違反の減点分、クオリティがうわまって。人生であんなにうれしかったのは初めてですね。で、ますますグラフィックデザイナーになろうと。

 

加藤 デザインでルールを超えれる(笑)

 

吉村 みんな試験を乗り越えて入って来てるからチャラチャラしたヤツもいないし、居心地もよかったっすね。

 

加藤 そこからデザイナーの道へって感じだ。

 

吉村 そうですね。卒業してからはとにかく求人募集してなくてもいいから興味がある事務所に応募しまくって、面接させてくれるところには行ってって感じで、3社くらいわたり歩いて、流れ流れついて加藤さんと同じ職場になって感じですね。

 

加藤 そしてお互いそれぞれ独立してね。 あ、今後はどうしたいとかあるの?

 

吉村 まぁ…内蔵破裂もそうですけど、わりとギリギリのあやういところで生きて来たんで、ちょっとした間違いで、まったく別のことをやってたかもしれないし、確固たる信念を持ったことがなかったんで、だからひとに語れるような人生じゃないかなと…。

 

加藤 でも、デザイナーになりたくてもなれないひと、独立したくてもできないひとはいっぱいいるし、そんななかで出来てるって、やっぱほかにはない物がきっとあるんだよ。

 

吉村 本能的にだと思うんですけど、これ以上そっちに行くとヤバいってところまで行くと、ものすごい集中力とエネルギーを発揮するんですよね。テストの件もそうですけど。だから、いま、思い切って独立して、こどももできたんで、ひもじい思いはさせれないし、実は今けっこうヤバい気がしてて、だから頑張れるような気がしてます。ってこんな感じでいいんですか? インタビュー…。

 

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・OUTDOOR SPORTS PARK 施設内ロゴ+サインデザイン
AD: 内山尚志 D: 吉村英仁

・作品

D: 吉村英仁

 

吉村 英仁 / EIJI YOSHIMURA

デザイン会社数社を経て、2013年に成り行きで独立。周りに流されつつも、たまに踏みとどまり活動中。最近一児の父となり、このままじゃイカンと巻き返しを図る。CDジャケット、エディトリアル、ロゴ製作等、もう少し活動の幅を広げようと考え中。

 

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