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どのクラスにも必ずひとり、常に新しいものを見つけてきては、みんなにプレゼンテーションをして、いつだってぼくらを楽しませてくれるヤツがいて、「これすごく面白いよ」「あの映画見た?」「このゲームもうやった?」「この漫画つぎ貸すよ」とか、そういうヤツ。
いまでもそんな感じで、◯◯◯◯(通称:さきっちょ)ってヤツはぼくらを楽しませてくれる。「このWEBサービス知ってる?」「インターネットでこういうことができるようになったよ」とか「このバンド聞いた?」 「このアーティスト知ってる?」って具合に、ぼくらをワクワクさせてくれる。そういうヤツ。
ぼくの勝手な解釈なんだけれど、デザインやWEBを、
「しごと」として良くしていくためには、それが、すごく「好き」であることと、それとおなじくらい、いつだって「はてな」を抱いてるということが大事だと思っている。つまり、はてなの数だけ発見があって、それが楽しい。そして、疑ってかかるのも、いじわるだけど、楽しい。それが果たして正解なのだろうか、と。ぼくとさきっちょは今日も明日も「これ見た?」「いや見てない」「いいよね」「いや、一概にそうとも言えないなあ」と、お互いの意見を交わすのです。
PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)
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加藤 PARK MAGAZINE初の顔出し本名出しNGです。謎は謎のままで、顔は隠すとして(笑) 肩書きは何にしようかね。
さきっちょ 肩書きかぁ(笑)肩書きと言われると難しいんだけど、内容としてはWEB用のサービスをつくるっていう仕事だね。クライアントからやりたいことを聞いて、そのために必要な技術を考えて、導入していくっていう感じ。6年くらいこの仕事をしてるけど、オンラインショップが多いかな。流通のことまで考える。EC(イーコマース)っていうんだけど、インターネット系の仕事のあるあるだけど、親や親戚に説明するのは難しいよね(笑)
加藤 わかる。ぼくも自分の仕事をどうやって説明していいかわからない。でも、オンラインとかECとか言われたらぼくだってわからないよ。ECの正式名称ってなんなの? とか。E=エネルギーくらいの。
さきっちょ エレクトリックコマースの略だから『電子商取引』って意味だね。直売じゃあなくインターネットを通じた商品の売買。それだけでもないんだけどね。本当にクライアントにとってECが必要なのかどうか、オンラインショップを立ち上げるだけで本当に良いのかっていうところも含めて、一番いい方法を探す。場合によってはオンラインショップに導くためのインターネット上のサービスを考えたりもする。
加藤 つまり「あなたにとってこれが最適なインターネットの運用方法ですよ」っていう仕事?
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さきっちょ そうだね。『最適化』っていう表現が最近よく言われてるよね。IOT(Internet Of Things)って言うんだけど、『もの』や『こと』を『インターネット』でつなげて便利にするっていう考え方なんだけれど、簡単に言うと「なんでもかんでもとりあえずインターネットにつなげて便利にしましょう」っていうことだよね。自転車や車に乗っててもインターネットに繋げれば距離がはかれるし近所のオススメのレストラン情報が手に入れられたりする。医療とかでも役に立つかもしれないよね。たとえば血液検査1つとってもさ、1つの病院で採血して、うちでは原因が不明でしたって言われて次の病院でもまた採血してっていうのがなくなる。病理診断の採血だけでも4000~5000円くらいかかるわけじゃん。でもさ、その情報だけでもインターネット上で共有すれば、いいんだから。たくさんのデータを1つに統合すれば、2度手間は省けるし、いろいろ役に立つ。まぁそれにはプライバシーとかいろいろ問題あるのかもしれないし、病気になってみてはじめて必要だなって痛感するから、あまり発展しないだけで、できないことじゃあない。逆に言うとインターネットでできることは、まだまだあると思うし、でも、使うひとのニーズもそれぞれ違うから、ターゲットも違う。じゃあクライアントに対しては、どのくらいの予算で何をやりたいのかってのを聞いて、インターネットを利用することでどういったサービスを提供できるか、予算が許す中で、いちばん良い方法を提案してあげるという感じだよね。まぁそれも言ってしまえば『最適化』だよね。実例で言うと、1つのファッションブランドがあるとして、在庫をたくさん抱えているから売りたいって相談をもらった時に、インターネットを介して、どういった層にどうやって売るのか。それは実店舗で直売するのと何が違うのか。インターネットだから売れる理由とか、インターネットを介するからこそ生まれる新しいかたちのコミュニケーションも含めて、一緒に考えてゆく仕事だね。まぁ言い方次第で疑わしくなるし、怪しい職業だけどさ(笑)
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加藤 それってファッションや食品でいうと、いままで雑誌やカタログが請け負ってたことをより最適化するためにインターネットにのせたって感じだよね?
さきっちょ そうだね。
加藤 そこで思うのが、さきっちょってこの仕事の前って雑誌のデザインとかやってたよね? そことのギャップはあるの?
さきっちょ ギャップというか、デザインをやりつつ、仕事にはしてなかったけど興味本位でWEBも好きで作ってたんだよね。まだアナログ回線の時代だったけど。でも具体的に言うと、雑誌だとさ、アクセスの解析ができないけれど、WEBだとさ、何人読んでるかとか、そういうのができたからさ、面白かったんだよね。
加藤 もともと学生時代もWEBの勉強してたの?
さきっちょ 専門学校時代はグラフィックデザインだったけど、もともとは高校で建築を先行してて、計算して図面を引く事が好きだったから、その延長でコーディング作業(プログラムを記述する作業)が好きになり...あと建築と言ってももっと細分化されるから説明すると長くなるし、高校のレベルだとわりとざっくりだけどね、このコンクリートにどのくらいの加重をかければひびが入るとか、そういう研究。好きだったね(笑)
加藤 すげえマニアック。
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さきっちょ 絵を描くのも好きで、クラスでも得意な方だったと思う。けれど、とにかく製図(設計図)を引くのが好き過ぎたんだよね。そもそもデザイナーとか建築に目覚める前に、定規を使ってまっすぐな線を引いたりするのが好きで。こどもの頃からずっと架空の建物を描いてみたり。でも中学の美術の時間に「線や色は無視しても良いから思ったまま自由に描いてください」って言われるんだけどさ、その意図がわからなくて。海とか描くにしてもリアルに描きたかった。けど、リアルに描くと否定されて「もっと自由に子供っぽく、描け」って。それがとにかくよくわからなかった(笑) だから建築に行ったってわけじゃあないんだけど、ちゃんと就職をしないとなぁって思った時に、図面を引くことが出来る仕事ができたらいいなっていうのは思ってたんだよね。あと、土木やっておけば職に困らないのわかってたから。
加藤 たしかに。食いっぱぐれないイメージ。
さきっちょ で、高校に入ってみたらすごい楽しくて。だって授業中ずっと研磨できるんだよ?
加藤 いやいや、ずっと研磨してたいなんて思わないから(笑)
さきっちょ だってずっと研磨すればさ、職人さんみたいに金属をめっちゃツルツルにできるんだから。究極の球とかも作れるわけ。すごいよね。あとは溶接だね。鉄と鉄がくっつく! わーすげー!って。でもそれでも図面も絵もずっと好きで…。
加藤 造るか、描くか。そこの選択肢は悩むね。
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さきっちょ そう。そしたら先輩がどっちもできる仕事があるよって教えてくれて。それが『グラフィックデザイナー』っていう仕事だったんだよね。昔は、手作業で図面ひいてたしカリグラフィ(文字を美しく見せるための手法)を体験してみたり、立体(パッケージデザイン)・平面も出来る職業と聞いて、これは良い職業だなと。あと横文字でカッコイイって事で...
加藤 すごくロジカルな印象だよね。でも、そこからWEBに移行して行くっていうのも面白いね。
さきっちょ そうだね。グラフィックも好きだから語弊がないように言いたいんだけど、自分が良いと思うグラフィックを突き詰めても、届く先というか『相手』が見えない状態でずっと「これが良いんだ」って作り続けるって行為が、よくわからなくなっちゃって…。もちろん反響がある仕事もあったけど。そこで壁にぶちあたった時に、まぁ、たまたまWEBが好きでやってたからすぐ横にあったってだけかもしれないし、WEBの方がすごいってわけでもないし。なんだろうね。建築をやってる時もそうだったけど、『ひとの行動』が好きなんですよね。なぜ、信号が『青』になったらひとは進むんだろう、赤は止まるんだろうとか。雑誌の時は、なぜ見出しの文字を大きくするとひとは読むんだろうとか。そういう分析がWEBで出来そうな気がして。
加藤 ロジックが好きなんだよね。きっと。
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さきっちょ 今回のインタビューを受けるにあたってPARK(公園)ってそもそもなんなの? っていうのも調べたのね。そしたら思ったよりいろんな意味があって…そういうのが楽しい。みんなが知ってる公園以外にもこういう定義があるんだ、とか。その上で、ひとの行動があるんだと。
加藤 ひとの行動があるからこそ、そこに公園がある、つまり機能があるのかもしれないね。その考え方ってWEBに向いてる気がする。
さきっちょ そう。あとは建築も柱が1本抜けると全部だめになるみたいに、WEBのプログラムも1カ所ちょっとスペースがあったり、変な文字が入ったりするだけで、成り立たないんだよね。そういうところも好きかも。タモリ倶楽部だよね。
加藤 タモリ倶楽部だね(笑)
さきっちょ 根が工業高校なんだよね。最強の鉄を造りたいじゃあないけれど、最強のサービスを提供したい。
加藤 ただの変態っていうオチになる可能性もあるよね。
さきっちょ ならないでしょ!
加藤 いや、なる。この手の話って、退屈って思うひともいる。
さきっちょ え!(笑)
加藤 挽回しないと!(笑)
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さきっちょ いや、だから言うってわけじゃないけど、世の中が退屈とかさ、つまらないって思ってるひとがいるからかもしれないけれどさ、俺はさ、ならないよ。知識とかさ、いつまでも足らないわけで。図鑑とか見るの好きなんだけど、まだまだ知らないことって世の中にいっぱいあるわけ。それを知るだけでも楽しい。それを調べようともしないで、退屈になってるのはもったいない。なんなら機械の体になって、そういうのを全部インプットしたいって思うもんね。どんどん進んでくテクノロジーに追いつきたいっていう。
加藤 やっぱ変態だよね。
さきっちょ こらっ(笑)
加藤 それってもう極論言うと、原子力の話とかになるよね。
さきっちょ そうそう。使うひと次第で、便利なものにもなるし、悪魔にもなれる。それでいうと、エンジニア(技術者)=クリエイター(創造者)という考えも好きなんですよ。クリエイターはエンジニアでもある。つまり神様はクリエイターじゃなくエンジニアだったんじゃないかって。
加藤 なにそれ。めっちゃいい言葉でたじゃん。
さきっちょ 神様はエンジニアである。神様は破壊的なものも生み出したけれど、人間もつくった。だから、破壊的なものを人間に託せば、上手に導いてくれるんじゃないかって思ったけど、そこは甘かった…。
加藤 つまり最適化する担当者がいなかった(笑)
さきっちょ 神は細部に宿るじゃあないけどさ。技術をきわめれば、よりよいサービスが提供できるとは、思う。だから、あとは、東京で経験を積みながら、地元(宮崎)の仲間達と新しいサービス考えたいね。自分が育ったところの、いいと思える部分を伝える事に力を注いで協力できればと! とか言ってかっこつけちゃったりして(笑)
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