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社会的な様子を表す『ソーシャル』という言葉には
『つながる』というニュアンスがふくまれている。

『つながる』という言葉だけ見れば、なんて素敵な言葉だろうと思う。ひととひとが手と手を取り合って、足らないものを与え合い、連鎖させていく。届かないところには手を伸ばし、そのリーチの長さが、『愛』のものさし。しかし、mixi、Twitter、Facebookうんぬん。ソーシャルネットワーキングサービスの波は、そんな風におだやかにぼくらをつなげてはくれない。時に津波のように、時に渦潮のように、つながれ、つながれと、うねりをあげてぼくらをあっという間に飲み込む。振り返ってみるとなんだかもうグチャグチャ。

竹内健人。

一見、賢く明るいふつうの明治の大学生かと思ったけれども、会えば会うほど、少しだけ違った。早い段階で例の渦潮から泳ぎ抜けたのだろうと思う。自分の目と耳と言葉で、ロジカルに、かつ丁寧に相手の気持ちを読み解く。大好きな「数学」の方程式でも解くかのように、しなやかに、みんなとつながっていく姿を見た。そんな、とある大学生・竹内健人の、ニュートラル。

PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)

 

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加藤 大学では何を専行してるの?

 

竹内 数学と教職ですね。理系って授業が多くて…大学の勉強以外にもいろいろやりたいことはあるんですけど…。

 

スケジュール帳を見せてもらう。

 

加藤 え、これ全部授業?

 

竹内 そうです。もくもくと数学ばかりやってます(笑)

 

加藤 え、もともと勉強が好きなの?

 

竹内 いや、勉強はあまり好きじゃないんですけど、単純に数学が好きで…。生活の主軸に『数学』があって、あとは空いてる時間でバイトやってるか、サークル活動(バレーボール)やってるか、学生同志の活動を、っていう感じですね。家にいる時間も数学やってまして(笑)

 

加藤 家でも(笑)

 

竹内 好き過ぎて…夜中だろうがなんだろうが体力がなくなるまで数学解いてたいですね。空いてる時間が少しでもあったら数学やってたい。時間がもったいない。

 

加藤 変態…(笑)大学に行った理由は?

 

竹内 いや、特に何も考えてなかったですね。本当に数学がやりたかっただけですよ。ぼく、ほんと話し始めたら止まらないくらい数学が好きで。友達にドン引きされますね。

 

加藤 数学の魅力。例えば?

 

竹内 僕個人の意見ですけれど、数学の魅力って『学ぶことに対して積極的になれる』ってところですかね。勉強するってすごくつまんないじゃないですか。でも、数学やってると考え方が変わって行くというか、『方程式』や『証明』がそうなんですけど、解いた時の快感がすごいんですよね。

 

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加藤 つまり、『問題』が発生して、それを『解決』することに喜びを感じるようになるから、ほかの勉強にもその気持ちを応用できると。

 

竹内 まさにその通りですね。あとはもう1つ数学が好きになった大きな理由があって、『きれいな数』っていうのが、この世の中には存在していて、それってすごいんですよ。見つけたひとすげ〜な〜! って思うんですよね。で、マネをしてみるところからはじめるんです。ノートに実際に書いて再現してみたり、さらに自分なりに考察していくと同じ数式が違うところで使われたりする。つまり、『つながり』を見つけられたりするんですよ。ただの計算式が、図形の話になっていたり、で、実際にそれが実社会にも応用されていたりして、それを見つけた時にすごい感動するんですよ。しかも、ぼくらよりもはるか昔の、ぼくらと同じ『人間』が考えてるんですよ。すごくないですか? で、そういう大発見をしたひとたちの生い立ちも知りたいって思うようになって…『ガウス』(近代数学に影響を及ぼしたドイツの数学者)とかすげーなぁって。バカと天才は紙一重というか、一見、すごく人間味に溢れてて、ぼくらみたいな普通のひとたちなんですけど、どこか飛び抜けてるというか…。

 

加藤 そんな風に数学を考えたことなかったな…。

 

竹内 高校の数学って微分積分が頂点なんですけれど、大学の数学って、哲学というか、数式ひとつとっても、1つ1つに学門としての追求があって、すごい楽しんです。いま研究室に行くか悩んでるくらいです。折り紙ってあるじゃないですか、あれも実は数学なんですよね、あれって…

 

加藤 竹内くん、どんどん顔が変態っぽくなってきてる…(笑)

 

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竹内 じゃあ1つだけ、電卓を使った数字のゲームなんですけれど、この電卓にいま「8」だけ抜けた1から9までの数字が並んでるんですが、好きな数字をおっしゃってみてください。

 

加藤 『5』

 

竹内 では『12345679』に『45』をかけてみてください。

 

加藤 おおお。気持ちいい。

 

竹内 加藤さんの好きな数字が並びます。

 

加藤 でも、なんで?

 

竹内 そう! その「なんで?」を解明して行くのがすげー楽しいんです! これを数学的に追求して行って、何に応用できるかを考えていくのが楽しいんですよね。

 

加藤 なるほどねー。ちなみにこれは何に応用できるの?

 

竹内 合コンっすね(笑)

 

加藤 そこは普通の大学生(笑)

 

竹内 ウケない時はすごいウケないですけどね。

 

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加藤 そもそもなぜ、数学が好きになったの?

 

竹内 幼稚園の時から公文式に通ってて、なんだかよくわからないまま数学の勉強はしてて、クラスによく『数学が得意なヤツ』っているじゃないですか、ぼく、ずっとそのタイプで。先生にもまわりの友達にもモテはやされて…で、自分は『数学ができるんだって』思うようになると、今度は弱い部分見せたくなくなるんですよね。だから、中学高校ではずっと、数学は『100点』を取らなきゃって思うようになって。ここまでは変態じゃあなかったんですけどね、大学の教授に影響されましたね。90分の授業なのに、それを無視して延々120分くらい授業してくる数学の教授とかいて…。狂ってる…と。数学に対する姿勢がそもそも違うなって。大学入って1年くらいは飲み会しまくって、とにかく女の子と仲良くなって、遊びまくれたらいいなって思ってたんですけど、授業受ける度に数学の世界に…。

 

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加藤 ほかのみんなみたいに遊びたいと思わないの?

 

竹内 うーん…遊ぼうと思っても、遊ぶ場所がなかなかないんですよね…。地元の小平市も、学生が多いわりにあまり面白くない。でも文句ばかり言っててもはじまらないなって思って、自分で動いて変えようっていう意識になって、空いてる時間に小平のNPOを調べて通って、相談させてもらったり、いろいろなひと紹介してもらうようになって。そのタイミングで『お茶の間セッション』(小平で開催される音楽とアートの秋祭り。PARK MAGAZINEも実行委員会として参加)をやろうとしている人たちがいると知って。これは面白くなりそうだなと。

 

加藤 自分が住んでる街を良くしたい、楽しくしたいっていう気持ちがあるんだね。素敵なことだと思う。

 

竹内 そうですね。さっきも少し話しましたけど、大学1年生の頃って飲み会に行って、友達つくって、仲良くなって、っていうチャラい感じで飲み会ばっかりやってたんですけど、でもなんかその友達の付き合い方、ちがうな…って思うようになって。飲み会の間は楽しめるんですけど、飲み会じゃないときって、何が楽しいんだろう…って。自分の居場所はどこにあるんだろうって思うようになって…。次第にずっと好きだった数学とか、教員になるための勉強にシフトしていって、で、友達にそこでの悩みを相談しようと思っても、まわりは相変わらず合コン、飲み会ばっかりで…それに気づいた時に一気にズドンと落ち込んだんですよね。大学にすら行きたくないって。

 

加藤 現代っ子だなあ(笑)

 

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竹内 遊びすぎましたね(笑) で、たまたまいろいろなヒトと『教育』について語れる機会ってのがあって、そこでいろいろ仲間とディスカッションしていくうちにちょっとずつですが、次へ次へとやりたいことが見つかっていって、それをひとつひとつ掴んで行った感じですね。その流れで2年生の終わりくらいに『街』のことを考えるようになったんですよね。自分が住んでいる小平について。小平って大学がたくさんあるから、そこの学生たちと学生連合組んで、いろいろやりたいっていうアイデアはたくさんあるんですけれど、時間が足らないですね…。

 

加藤 そりゃそんだけ数学やってたらないわ(笑)

 

竹内 ですね(笑) でもそれがすごくジレンマで…。このままひとりで自分の好きな数学をやってれば、教員になれるだろうし、わりと不自由なく行けると思んですけど、一方で、ぼくみたいに大学で遊びすぎて落ち込んでる学生って、ほかにもいっぱいいると思うんで、そういうひとたちに「もっとちがう楽しみ方があるんだ」っていうのを広めたいなって思ったり。

 

加藤 いまはそれが両立できればって感じだ。

 

竹内 そうですね。学生連合を運営するにあたって休学も考えたんですけどね、でも数学が好き過ぎて、なかなか踏み出せない。性欲よりも数学欲が強いくらいなんで…。

 

加藤 性欲より数学っていう21歳…狂ってる…。

 

竹内 たまにバレーボールやって発散してます!

 

加藤 ほかにやりたいことないの?

 

竹内 実は、福沢諭吉にすごく憧れてて。あの人ってたくさん大学を作ったじゃないですか。

 

加藤 学問のススメのだよね? 慶応かな。

 

竹内 そうですね。だから、いつか自分の理想の大学を作りたいっていうのがあって、それに向けて自分のキャリアプランを考えています。

 

加藤 大学つくりたい…やっぱ竹内くん変だよ(笑)

 

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公園についてのモノやコト

 

加藤 いままで話を聞いてると、『楽しみたい!』っていう気持ちがすごくあるよね。それがPARK(公園)のコンセプトに近いと思ってて。

 

竹内 『楽しみたい』っていうのは根底にありますね。何やるにしても楽しみたい。かつ、かっこよくありたい。自分が楽しんでないと、余裕が生まれないし。楽しまないとダメだなって。『公園』もそうですけど、遊び場ってどんどん減ってるイメージかなって、そのせいでこどももどんどん減ってるなっていう印象がありますね。あ、公園っていま『花火』も禁止されてるじゃないですか。この前、めちゃくちゃ雪が降った時に、みんなで「花火やろう!」って、花火できる公園調べたんですけど、ぜんぜんなくて。公園以外の場所も探したんですけど、ダメだったんですよね、どこも。打ち上げるわけじゃあないんだし、花火くらいいいじゃんって、寂しくなりましたね。

 

加藤 ルールばかり先に立ってね、楽しくないよね。

 

竹内 公園からこどもが減ってるっていう話も、寂しいですよね。

 

加藤 うん。ホームレスが寝れないようにベンチに鉄パイプを取り付けたりするのも本当に意地悪な話。ルールの作り方が汚い。こどもに教えたくない。

 

竹内 あのベンチって、そうなんですね。知らなかった。言われてみるとそうですね。

 

加藤 別にホームレスが爆竹を鳴らすわけでもないし、誰かに危害を加えるわけでもない。ただ、たまたまいろいろな事情で行き場がなくて、困ってるひとを、受け入れてあげるベンチを作ることすらできない…。寂しいよね。

 

竹内 ですね。この前、公園じゃないんですけど、新小平駅の駅前のベンチで、友達待ってて、すごく天気が良かったから横になったんですけど、すごい気持ちが良かったんですよね。ちょっと非日常な感じもして、居心地が良かったんですよね。昔、親と喧嘩して家を出たことがあって、その時も、ベンチに座って、水と少しの食べ物があれば大丈夫だなって思ってコトもあって。今日、加藤さんに『公園』について聞かれるまで、深く考えてなかったですけれど、『居場所』について考えるのって大事ですね。

 

加藤 小平は居心地のいいきれいな公園がたくさんある街だからね、そんな街から、ひとりひとりの『居場所』を考えれたらいいね。

 

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竹内 健人 / KENTO TAKEUCHI

数学に携わる仕事、子どもに携わる仕事、社会教育的な仕事をすべく明治大学理工学部数学科に通う大学3年生。20歳。

将来の夢は、数学の研究者、大学か創建、または起業。社会の問題解決に大きく貢献すること。

2014年9月、10月と開催される東京小平市のまち祭り「お茶の間セッション」の実行委員。

 

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