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おなじ団地 おんなじ学校
おんなじ公園 おんなじ塾
あそぶともだちが ちがかっただけで
もしかしたら あのとき、いつか
おなじ街にいたんじゃないかって
話しているとそんな風に錯覚する
サッカーしてたらいつまにか
知らないこといっしょになって
ボールを追いかけてるみたいに
ジャンルなんて関係なく
世代が同じってだけで
おなじ景色を見据える時がある
そんなことを感じながら
ニュートラルな気持ちで
景色を思い出してみる
PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)
LIVE PHOTO:YASUYUKI KIMURA
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加藤 吉野くんって音楽とデザインを両立しているイメージがあるけれど、どっちが先だったの?
吉野 音楽…かな。実は高校の時にGLAYにハマっちゃってて。ビジュアル系。LUNA SEAでもなくL'Arc~en~CielでもなくGLAYでギターをはじめて…。
加藤 意外すぎる(笑)
吉野 昔は絶対にGLAY好きだったとかって言わなかったけどね。いまはもう言えるようになったよね(笑) で、高校の時はコピーバンドだったんだけど、卒業して専門学校からオリジナルもやりはじめるようになって。そう思うと一般的な普通の高校生だったな…。GLAY好きで、バンドやって、夜遊びもせずに部活やって、夏休みは合宿だし。どちらかというと健全…。
加藤 地元どこだっけ?
吉野 千葉の浦安。まぁ田舎なわけでもないし、恵まれてるよね。しかも団地で。だから格差も競争も特になく、困ることもなく、ド中流(笑) 『やってやれ!』みたいな感じにはなかなかならず…。
加藤 わかる。ぼくも団地だから。専門学校は?
吉野 美術系だね。当時、走りだったんだけど、コンピューターグラフィックの科があって。普通に視覚的に広告とかをデザインしていく科もあったんだけど、コンピューターのデザインを選んで…。
加藤 当時でコンピューターえらぶって珍しいね。
吉野 ゲームが好きだったんだよね(笑) だから抵抗なかったというか。ここを押せばこうなるんだって、理解が早かったんだよね。でも、デザイナーになろうっていうわけでもなく、卒業して、フラフラしてるところをboris graphic engineeringの菅原義浩さん(The Birthdayなどのアートワークを手がけるアートディレクター)のアシスタントをやらせてもらえる機会をもらって、そこで菅原さんの仕事を見ながら「デザイナーって良い仕事だなあ」って思って、で、制作会社に入ったり、RESTIR(ファッション系のセレクトショップ)でデザインさせてもらったり。で、独立した感じ。
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加藤 最初からデザイナー志望だったの?
吉野 いや、実はさ、高校が進学校だったのよ。でも勉強できたのは中学までで、入ってからはぜんぜん成績わるくてさ、大学に入ろうと思った時にはもう間に合わなくて。で、よくよく考えてみたら「あ、ひとよりちょっと絵がうまいかもしれない」って。SDガンダムとか、こどものころみんな描いてたんだけど、みんなよりはうまいかもって(笑)
加藤 ほかのひとより長けてるところを伸ばしたと。
吉野 そうそう。で、美大も考えて美術予備校に通うんだけど、それも遅くて、高校の3年の春くらいに入ったんじゃまわりみんな仕上がってるわけよ。コミュニティももうできてるし、デッサンなんて描けてあたりまえって感じで。「この劣等感と、とけ込めなさはなんだ…」と。
加藤 キツいわー(笑)
吉野 で、予備校にも行きたくなくなっちゃうんだよね。で、お茶の水の楽器屋うろうろして…。
加藤 HOWEVER聞きながら(笑)
吉野 そうそう。で、簡単な試験だけで入れる専門学校選んで、早めに進路だけ決めちゃった感じだよね。だからなんとなくだね…。デザイナー目指してたとは言えない。だからいまこうしてデザイナーやれてるのは菅原さんの存在が大きいかな。制作会社で『仕事』のことは学んだけれど、アーティストや仕事に対する姿勢とか、ひとのつながりとかね。現場に連れてってもらったり。そういうのは菅原さんだね。本当にお世話になったと思ってる。
加藤 そういうひとに会えるのっていいよね。
吉野 そうだね。本当に。ラッキー。こんなこと言うとあれだけど、デザイナーになりたい!ってわけじゃなく、なんとなくふわっとはじめっちゃってるからさ、ひとのつながりが本当に大事で。いまこうしてフリーでアートディレクターやらせてもらえてるのもいろんなひとのおかげで。音楽の方でもいろんなつながりがあって、専門学校のともだちとか、芸術やってる子とか。そういうひとに刺激もらったり影響されたり。
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加藤 その間も音楽はずっと続けてるよね。
吉野 やってるね、ずっと。それもいろんなひとから影響を受けてGLAY聞いてる場合じゃじゃねえなあって(笑) となると、いちばん長くつづいてるのは音楽かな。リリースするしないとかは別だし、メンバーが変わったりはしてるんだけれど。
加藤 一緒に仕事させてもらったり、ライブの活動をSNSでチェックしたり、きょう話を聞いててのぼくの印象だけど、デザインも音楽に対してもすごくニュートラルで、『続けられる』ひとなんだなぁって。いい意味で熱くなれないというか、ならないというか。
吉野 いいまとめだね(笑) なんだろうね。一歩引いちゃうのかな…。よくもわるくもマジメじゃないって思われるかもしれないけれど、どうもギアがハイにならなかったというか、「これをやってます!」とかってあえて大きな声で主張することでもないから。ギターくらい普通にやらない? というか…。それに対して「もっと命かけてやれ!」とかって言われても「オレだってぜんぜんかけてるよ命。かけてるかけてる」って。あたり前な存在なってるだけで、命はかけてる。だからわざわざ趣味「ギター」って書かなくていいでしょ。カタチは変わってくかもしれないけれど、ずっとやってくんだから。
加藤 長い目線で考えてるからこそ落ち着いていられるのかもね。
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吉野 デザインのことしかわからないデザイナーがいても別にいいんだけど、音楽のことも話せるデザイナーがいてもいいかなと。もちろんデザインのことはデザイナーなんだから知っててあたりまえなんだから知ってる。けど、そこを強調してもというか…。音楽をやってるからつながったデザインの仕事もあるし、ファッションも好きだし。比重は一緒。
加藤 わかる。どれか1つに絞る必要はない。やることやっていいもの作っていれば。でもこの感覚って世代(1981年)な気がしない?
吉野 それはあるかもしれないね。しかもホントに俺たちの世代だけだよね。上も下も話してみると感覚がちょっと違うよね。同い年のひとたちってやってることのジャンルが違うけれどわかり合えるっていうのがある。けっこうキツい世代だったからね。『就職難』て言われたのもウチらだしさ。
加藤 まさかの『氷河期』ね。期待させるだけ期待させておいて目の前で没収されることが多い。レコードでもCDでもなく思春期はMDだったし、雑誌もなくなってく。mp3やインターネットはやっぱ1つ下の世代以降のものだし。1つ上になると一気にプロ思考のひとが多いというか。
吉野 ポケベルやPHS、携帯、ネットもそうだけど、黎明期から仕上がってく過程を一歩引いて見てるんだよね。
加藤 いい情報を自力で取りにいくしかなかったから、だから力はついたよね。上にも下にも目配せして、自分たちだけでうまくできちゃう世代(笑)
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吉野 たしかになんとなくいろいろ『できちゃう』。器用貧乏(笑) こだわりももちろんある。やらなきゃいけないこともある。でも、それよりやりたいことに向かって行く感じもあるよね。
加藤 やらなきゃいけないことってのはいつだってあるからね。やりたいことの方に倒れたいね。
吉野 そうだね。あとは人情が好きというか、大事にしたいってのもあるからさ。もともと団地だし、下町というか、そういうところで育ってるし、だから最近は本当に肩を組み合ってがっつりやれるひとと何かやりたいって思うようになってきたかな。
加藤 これきっかけでいろいろつないで、ニュートラルな吉野くんをハイにさせてみたいね。
吉野 うん。やっぱり話してみて、ひとのつながりかなって思う。仕上がったものもそうだけど、それまでの過程におけるコミュニケーションが好きだから、そういうのをやっていきたいね。もちろんこだわりというか譲れないところはあるかもしれないけど、みんなの意見で変わって行くのとかも好きだし。デザインも好きで、音楽も好きで。そういうデザイナーってことでいいんじゃあないかな。いま、この歳になってようやく「やってやれ!」って思ってる(笑)
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公園みたいなモノやコト
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加藤 バイク乗るよね。しかも大きいヤツ。みんなとどこかに行ってたり、楽しそうだなーと。
吉野 そうそう。でもバイクもね、遅かったんだよね、はじめるの。5年くらい前かな。(リハーサル)スタジオに行くのが電車だと面倒な距離で、原付で行き始めたんだよね。そしたら面白くて…中免とって、中免とったら大型乗りたくなっちゃって。絶対に乗った方がいいよ。人生損してると思う。
加藤 そこは熱いんだ(笑)
吉野 楽しいからね。実はオヤジがずっとハーレー乗っててさ。20歳の頃にオヤジが死んで、それが影響してるかも。反面教師とまでは言わないんだけどさ、バイク、キライだったんだよね、「うっせーなー」とか思いながら。でも、あらがえないよね。原付乗ったら「これか…」と。アメリカ大好きで、全身革の服を着てさ、オレもどんどん似て来てるんだよね。まったく目指してなかったのに(笑) 母ちゃんも思ってると思うよ。乗り始めたな…と。ここへきて、不思議とね。
加藤 吉野くんに取っての公園ってバイクの上なのかなって。
吉野 うん。乗るだけじゃなくどんどんカスタムしていくのも楽しいんだよね。カスタムって言うとギターにも通じるんだけど、そういうのが根源で好きなんだよね。あ、でもゲームも好きだしなあ。こどもの頃からずっとやってるって意味ではゲームの方が長いかも。いまでもすごいやるもんね、ゲーム(笑)
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加藤 話聞いてると趣味多いよね。しかも全部おなじテンションで続けてる。それ、実はすごいよね。好きなことをカタチにしていく力がある。
吉野 でもこれ書いちゃうとあんまり働いてないみたいに思われちゃうね(笑) ちゃんとやってるから!
加藤 でも趣味に対しての時間の使い方が上手なんだと思う。バランスがうまいというか。そういうのって、くらしを豊かにしていくのに必要だよね。
吉野 前にロンドンに行ったことあるんだけれど、公園に行くとさ、都会のまんなかなのに昼間っから楽しそうにビール飲んでるひととかいてさ、ああいうのいいなあって。もちろん日本と働き方が違うんだろうけど。ああいうの羨ましいよね。何がしあわせかって、考えたい。
加藤 すごく共感。
吉野 楽しいことをしっかりやりたいね。
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吉野大介 / DAISUKE YOSHINO
アートディレクター。1981年生まれ。2003年borisgraphicengeenring菅原氏に師事。2005年〜2007年 RESTIRのインハウスデザイナー。2010年 Burgundy立ち上げ。今に至る。
http://y-n-o.com/burgundy/
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