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理屈やいいわけばかり増えた。
やる理由よりやれない理由を探すようになった。
本音をいうのに疲れて、ウソがうまくなった。
フジロッ久(仮)というバンドは「踏み絵」だ。
ぼくは、それを踏んでみたけど、どっちだろう。
藤原 亮 が切る ダサいダサい啖呵が 音に乗っかって、
ナイフのように輝き、ドンとぼくらの背中に強く刺さる。

 

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それでも日々は続いてゆく
難しく 美しく 波は繰り返す
世界の形 確かめたら
絶望のゼツの濁点は消さなくちゃ
笑ってしまう理由も揃ってる
悪い心 蹴散らせるような
関係って有り得ないか?


フジロッ久(仮)「punk lover's dream come true」より

 

PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)

LIVE PHOTO:YASUYUKI KIMURA

 

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加藤 フジロッ久(仮)のギターボーカルとして紹介することになると思うんだけど、ギターボーカルって言われ方、イヤでしょ。

 

藤原 うん。なんかくすぐったいね。そもそも名前とか肩書きとかが苦手で。

 

加藤 でしょうね。バンド名も…いさぎよくない。

 

藤原 そう。いさぎよくない。

 

加藤 曲やステージがいさぎよいがゆえにね、よりいっそう。

 

藤原 なんかね…ステージの上はいいんだけどね。こうして普通にしてると、言いきりができない。はぐらかしたくなっちゃう(笑)

 

加藤 そもそもギターボーカルっていうより、『メッセージがあるひと』って印象があるんだよね。たまたま手段が音楽になっただけで。歌が好きだったの?

 

藤原 歌が好きだとかって思う前に「バンドがやりたい」って思ってギターを持って、音痴ではなかったし、人より高い声が出るなって思ったから、「うた」かなって。自然とそのポジションに。で、楽しいしさ、ずっと続けてたら知らないあいだに筋肉みたいなのがついてたというか、だから、いざちゃんと『伝えたい』って思った時に、方法としては歌がいちばん近かった。

 

加藤 ギターだけ弾く曲ってある?

 

藤原 ない。けど、好きだよ、スタジオでセッションしたり。だけど、そこであえて思ったことを言葉にしてみる。自分たちのくらしのこととか。で、音に言葉が乗っかってくると世界がすこし変わるというか、例えば、リズムをキープしてたドラマーがさ、『言葉』を拾いあげて、感じて、リズムと違う所で沸点に到達して、演奏に影響が出たりする。そういうのがすごい好き。音に乗った言葉が好き。だから今日みたいに、音が鳴ってないのにしゃべるっていうのは、すごく覚悟が必要…。想いを含んだ言葉を、責任を持ってしゃべるには、音楽が鳴ってた方が…助かる。

 

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加藤 そもそもいつ頃はじめたんだっけ?

 

藤原 中高とコピーバンドはやってたけど、曲作ってライブハウスでライブしはじめたのは20歳くらい。最初は、よくライブを見に行ってた西荻窪のライブハウスに出てる『おとなたち』にそそのかされてというか(笑) あのコミュニティに憧れたし、彼らみたいなメッセージ性の強いバンドやりたいとはずっと思ってたから、ここならできるなって思わせてくれて。「やったれ!」って、そしたらすぐに声かけてくれて。出番最初で良ければ出て良いよって。つまり好きなバンドのひとたちが見てる前でライブさせてもらうんだけど、フルボッコ状態というか…全然ダメで…。事前に用意していったモノ(曲)じゃあ勝負できないの、ステージに立ったらすぐにわかった。「俺たちにメッセージない!」って…。でもその夜のうちにせめてなにか残そうと、ひたすらステージの上で暴れたり…(笑) CD出すに至るまでずっとそんな感じでやってきたって感じ。だから枠に収まってやってきた感じはないんだよね。たまに共演するバンドの中にもいるんだけど、プロデューサーみたいなヤツがいて、打ち合わせがきっちりあってっていう感じの『サラリーマン』みたいに音楽をやってきてない。そういうバンド見ると『偉いな〜』って思っちゃう。

 

加藤 偉いな〜って思っちゃう(笑)

 

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藤原 悪い所でもあるんだけどね。彼らは彼らで一生懸命なんだろうけど、本気のヤツら見て笑っちゃうってのがある。だって、大人になってさ、食えてるか食えてないかは別としてさ、好きなことやらせてもらえるんだからさ、サラリーマンみたいなことすんなよ! って。で、同じくらい残念な気持ちになる。サラリーマンぽい方が、まわりは安心するんだなってのもわかったし。何していいかわからないと不安になっちゃうんだろうなと。

 

加藤 マニュアルがないと進めないという…

 

藤原 というか、そうじゃないとやれない音楽なら「やめちまえ」って思うけどね。メッセージがない音楽やっていても居心地が悪い。

 

加藤 最近はその感じが加速してるよね? はじめて見た時と印象がだいぶ違う。

 

藤原 この3年くらいは違うね。CDを出してからかな。東京以外のところに誘ってもらうようになったり、その流れの中で、ある部分に関してはちゃんとやってみるってのも『楽しい』っていうのがわかってきたっていうか。フジロッ久(仮)を『音楽』として聞いてくれてる人が思ったよりもいろんなところにいてくれてるんだってわかったりして。グチャグチャダラダラだったのが、グチャグチャしっかりになってきた。そしたら、バンドやってるのが楽しいというより、バンドをやってる自分とそのまわりが楽しくなって来たというか。グチャグチャだと自分が喜ぶし。しっかりやるとお客さんが喜んでくれる。

 

加藤 関わる人も増えて相乗効果も起こるし。

 

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藤原 世界に参加する手段として『バンド』なんだってわかった。今までは今までで楽しかったけど、そうじゃない喜びを知った。あとはCD出したあとすぐに震災があったのも大きかった。

 

加藤 やんなきゃっていう感じ?

 

藤原 視野が狭くなってた自分たちの音楽が『社会』とリンクしたっていう感じ。社会に飛び込んだ感じもある。レコーディングお金がかかるし、ツアーもお金がかかるし、関わる人も増えて、そういう責任が乗っかって、それでさらに加速して行った。で、加速すればするほど楽しいんだってのが、わかった。

 

加藤 もともと素質はあったんだと思う。

 

藤原 そうかも。無我夢中だっただけで。だから、本当はいつでもできたはずだし、これからはいつだってできる。変な話、誰だってできる。気づくか気づかないかで。

 

加藤 そうだね。バンドに限らず、思い切り遊んで、楽しんで、ちゃんと想いを届けるというか、届けたいひとのことを責任持って思いやれれば、うまくいくし、進む。

 

藤原 そう。今はスッキリしてる。やっとここに来た。居場所があった。

 

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見えない雪が溶けだして川になり
紫陽花の蕾並んだ通りを流れてく
チェーン店やテレビで見ることのない響き
気付き 口ずさむ 手遅れか? 出遅れた?
やり直せると歴史が言う

 

おお シュプレヒコール
街中に咲いて乱れる花々
命が踊る 気持ちが起こる
水を注ぐその手は
誰のだろう?


フジロッ久(仮)「シュプレヒコール」より

 

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加藤 聞いてて恥ずかしくなるくらい堂々としてるもんね。ステージの上なら。言いたいこと言ってるというか。編集されてない状態の言葉がどんどん出てくる。羨ましいくらい。あれはどうして?

 

藤原 くらしに目が向いたっていうのがあるかな。すごく。今までももちろん思ってたことはあったんだけど、音楽に上っ面なことしか混ぜれてなかった。もちろん震災と原発の事故が大きい。ああいうのがすぐ近くにあるのがわかってて、「自分どうよ?」って。自分が自分でやれることやらないと、自分のこと好きでいられなくなるなっていう。

 

加藤 いま、絵空事をうたっても仕方ないしね。

 

藤原 くらしの中から出てくる言葉しか説得力がないってわかった。だからくらしを見直さないといけないって思ったし。本読んで上っ面で「反戦」って言ったって、響きもしないだろうなって。わかった。バレる。絶対に。でも、あるところにはちゃんとあったし、やれる人はやれてたから、わかるし、ごまかしたくなかった。だから震災直後は自分のいままでの曲がどれも納得いかなくて、ライブできないって時期も。でもやんないわけにもいかないし。自分が最低限できることを考える毎日だった。だから自分がスッキリうたえる曲を早く作りたかったんだよね。せっかく好きなことやらせてもらってるんだから、そこ信じていいかなと。あとは、ちゃんと唄って、心だけじゃなくて、からだに届く曲を作れたらいいなって。

 

加藤 うん。「からだにとどく」という意味が本当によくわかった。この前、ライブを見させてもらった時も、実はいたたまれなくなって途中で出てしまったんだよね。やらなきゃ、やらなきゃ、ぼくはぼくのやり方で動かなきゃって背中を押された気がしたんだよね。でも、名前がな…フジロッ久(仮)だもんなあ…。だけど、これくらいがいいんだろうな。すこしはぐらかすくらいがさ、うっかりしてると本当に奥まで刺さって抜けなくなっちゃう。それにさ、真顔で本当のことを言い合っててもしょうがないしね。

 

藤原 しょうがない(笑) じんわり染み込んで行けばいい。だからこの名前でもいいかな。自分が納得いってればね。信じて、まっすぐ放てば、聞いてくれるひとには伝わると思うから。

 

加藤 なんかいいこと言おうとしてない?

 

藤原 なんで急に距離を置くのさ(笑)

 

加藤 なんかね。まぁそこがいいんだけど。

 

藤原 音楽が鳴ってれば、もっと素直にしゃべれるんだけどな…。

 

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公園みたいなモノやコト

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加藤 公園について思うことって?

 

藤原 自然とつながってる場所っていうのが良いよね。あと、お金を取らない(笑) あたたかい日なら、夜、公園で呑んでもいいし。昼でもフラッと近所の公園にあそびにいくことが多い。それに、公園に行くと、そこで遊んでるこどもとコミュニケーション取れたりするのもいいね。新宿駅の構内とかではそういうのないわけで。こんな格好でいたらこどもを近づけようともしない。公園なら遊ばせてくれるのに。やっぱ『公園』だからだよね。プロフィールをはぎとっちゃう場所なんだなって。センスとか関係ない。ナリで判断されないっていいよなぁ。しかもタダだからね。みんな行っていい。

 

加藤 スーツ姿のインテリの横でホームレスが寝てるとかね。

 

藤原 このくらいの季節になってくると、天気がいい日は街自体が公園だよね。俺、寒いのが苦手だから冬はなるべく外に出ないから。っていうとツアーで行った台湾が最高だよね。一年中あたたかいし。街の人も、東京と違って、俺みたいに油断しっぱなしのひとも街にたくさんいる。もう島全体が公園にいるみたいな気分になれる。

 

加藤 いいよね。台湾。

 

藤原 あとは太陽。太陽って大事だよ。太陽最高。

 

加藤 それ〆の言葉になるけどいい?

 

藤原 いいよいいよ(笑) 当たり前のこととか、わかりきったこととか思わないでさ、言って行こうよ。いいんだから。政治家もさ、太陽のありがたさに気づくべきだよ。そしたらそんな発言しなくなるってこといっぱいあるもん。太陽って大事。太陽最高。

 

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藤原 亮 / ふじわらりょう

パンクバンド・フジロッ久(仮)
でギターを弾いてうたうひと
ニューアルバム「ニューユタカ」
ニューシングル「あそぼう!」発売中
http://blog.livedoor.jp/fujirock/
OFFICIAL Youtube

 

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