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説明不要

藤原よしお

PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)

 

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加藤 キミはいったい何屋なんだっていう…。

 

藤原 酒呑み屋じゃないかい?

 

加藤 吉田類、玉袋筋太郎、なぎら健壱、そして藤原よしお(笑)

 

藤原 何屋ってことはないよね。体とお金を交換してるだけなんだから。しかも呑むためになんだから。お酒呑まないでいれるひとが信じられないよ。友達になれない(笑)

 

加藤 小中高は長野で、そこからしばらくして東京で出会った気がするけど、東京に出て来るきっかけはなにかあったの?

 

藤原 出て来るきっかけってほどでもないけど「田舎でくすぶってるのは寂しいよね」ってのがあったよね。松本市って中途半端に田舎じゃないからまたたちが悪い。高校の時なんか3ヶ月に1度は東京に遊びに来てたんだから。10万円握りしめてさ、当時は裏原が流行っててさ、あこがれてた。

 

加藤 高校卒業してすぐ東京?

 

藤原 いや、そこが辛かった。2年出遅れた。みんなは大学行くためにすぐに東京行ったけど、くすぶった。長野の専門学校で大工の勉強してたんだけど、あとにも先にも、その2年間で遅れを取った。原宿の話してる同級生とか、殴りたかったね。ずれたなあ。

 

加藤 でもなんで大工やろうと思ったの?

 

藤原 やっぱね。ひとも建物も東京が日本の最先端だからさ。インターネットがどれだけ発達したって遷都があったって、俺たちが生きてるうちは東京は東京なんだからさ。俺たちがあこがれた東京って街に関わりたいじゃない。いまだに恵比寿がすごいって思うもんね。田舎に恵比寿はないよね。

 

加藤 でも建築にいくって変わってるよね。よほど何かに影響されたの? 松本城とか?

 

藤原 松本城なんて一度も興味もったことないよ! それにそんな仰々しいエピソードもない。ただ、お金を稼がなきゃいけなかったからさ、ごはん食べるのに、お酒を呑むのにお金が必要だってことだったから。働かなくていいなら働かないんだから。仕事に愛があるかって言われたら、ないわね。お金もらえないなら建てないんだから。最近つねづねおもうよ。

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加藤 でもいろいろ選べる中から大工を選んだわけで。

 

藤原 オレの場合は単純だね。みんながそろって大学に行くもんだから「オレは行かない!」って。アンチテーゼ。カウンターカルチャー。

 

加藤 アンチテーゼで大工(笑)サッカーも国体まで行ってるのに…。

 

藤原 進学校でさ。300人中3人だって。進学しなかったの。就職したヤツ2人。あとはオレ。

 

加藤 だからなんで建築なのよ。好きだったんでしょ?

 

藤原 好きじゃあない! たまたま実家の隣で家を建ててた大工さんを見て、こどもの頃に憧れたってのはあったけど、途中からは義務感だよね。「なりたい」んじゃなくて「ならなきゃ」って。まわりに「いいの?」って言われたけれど、「いいかどうかもわかんねぇよ」って。だから田舎じゃダメだって思った。もし何かあって大工じゃなくなっちゃった時に、田舎の人間関係だけじゃあダメだってのはわかったの。

 

加藤 宮大工の勉強もしてたんだよね?

 

藤原 めざした時期があったってだけ。でも一般住宅がメインだね。あきらめ早かったよ。話で聞いたら宮大工は、もうそれ(寺社を建てる)しかやらない、それしかできないって決めたひとがなるんだって言うからさ。クラブとかいけなくなるのイヤだなって(笑)

 

加藤 で、専門学校卒業して、東京に出て来るわけだ。最初は就職?

 

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藤原 そうそう。とんでもない建設事務所に入っちゃって。超ドSというか、変態みたいな社長がいるところでさ、タイルの塗り方1つ教えるのに、いきなり服を脱ぎ出してビキニ姿になって、興奮してるんだろうね…アシスタントにマネキンを持ってこさせて、何するのかなって思ったらそのマネキンにハケで接着剤をぬりはじめるの。べたべたって。で、粉々にくだいた鏡をマネキンにどんどん貼ってくのよ。ほぼ全裸で。で、貼り終わったと瞬間にマネキンにそのまま抱きついて「こういうことよっ!」って…全身血だらけで…。まったく意味がわからなくて、ただひたすら東京ヤバいって。

 

加藤 衝撃…。

 

藤原 東京…こういうことか…って。で、事務所を転々として、いまのところに落ち着いて、どんどん家を建てていこうと。

 

加藤 それが目標だ。

 

藤原 いや、何もしたくないね。本当は。時々ゾッとしない? ずっと働き続けるんだぜ? 一生だぜ。一生モノの何かって手に入れたことないけど、仕事はずうっと。死にたいとは思わないけれど、働かないでいいならギリギリでもいいやね、親の死に目にも立ち会いたくないし、誰の骨も拾いたくない。何もしたくない。

 

加藤 長野に帰って錦を飾りたいとかはないの?

 

藤原 帰りたいってのはあるけど、そういうのはないな。東京にたくさん給料吸い上げられたからもと取らなきゃいけないし、死んだり途中で帰ったりすれば赤字だかんな。本当のことを言えば呑んでいたいよ。でもそうは世間が許してくれない。しいて言えば…ちゃんと生きたい。もともとパンクが好きだから。ちゃんと生きたい。

 

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加藤 パンクに魅せられたきっかけは?

 

藤原 はじめて覚えた外国語がSEXだから(笑) 小学校6年生だよ。田舎で。「Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols(邦題:勝手にしやがれ)」、SEX PISTOLSの。これは絶対にヤバい!って。いまも基準はすべてそこ。冗談抜きに。まわりがやれジャニーズだ、やれミスチルだって時に出会っちゃったから、反骨精神が当たり前になっちゃった。無意識で。

 

加藤 スポンジみたいに反骨精神を吸い込んじゃった。

 

藤原 よかったと思うよ。それで言ったらいまの子たちの方がかわいそうだと思うよ。情報だ情報だって言っててもさ、夢や希望しか教えてくれないんだからさ。ひととおんなじじゃなきゃいけない。でも、パンクは違う。ひととちがってる方がいいんだから。だから自由に表現することができる。それってすごくやさしいことだと思うよ。みんなとおんなじようにできなくたっていいんだから。パンクはできない人間を許してくれた。

 

加藤 Vivienne Westwoodを着てるのもSEX PISTOLSの影響だ。

 

藤原 高校生の頃はとてもじゃないけど買えなかったからね。Tシャツで3万円だぜ。現実的じゃないよ。貯金して買う頃にはシーズンが終わっちゃってるんだから。せっかく買ったのにインナーになっちゃうんだから。だから目標だったね、Vivienne Westwoodは。どんな仕事だろうと、働けばVivienne Westwood着れるんだぜって。ジョー・ストラマー(THE CLASH)には怒られるかもしれないけど。それにこれがCOMME des GARÇONSじゃあ意味がないわけだから。

 

加藤 バンドはやろうと思わなかったの?

 

藤原 才能がないってすぐにわかったからやってない。ピンとこなかった。演者になるなんて。あと、いろいろ調べてみるとSEX PISTOLSが凄いのはマルコム・マクラーレン(プロデューサー)なんだなってわかる。あ、なりたいのは裏方なんだなって。前に立ってる連中も、マルコムがいないとなんにもできない連中だからいいじゃない。

 

加藤 今でこそ少しは立派になったけれど、ぼくらが知り合った時なんてひどかったよね、お互いなんもできない2人だったね。酒呑んでばかりで。スチャダラパーばっかり聞いて。

 

藤原 旅は道連れ世は情け、って言うじゃない。一緒に旅できるようなひとたちというか、手の届くひとたちとしあわせに暮らせたらそれでいい。アンチ共産主義のくせに全体主義だよ。

 

加藤 バーベキューいっしょにできたらそれでいいんでしょ?(笑)

 

藤原 オレは肉を持って来るからお前はお米ね、って。これが世界中でできればこんなにウマいことはないと思うよ。

 

加藤 ぼくは野菜を育てるのが得意だから野菜持ってくとかね。食べ物は作れないけれど歌を唄えますとかね。

 

藤原 なんもできないなら誰かに教えてもらって薪を割ればいいわけ。ただ、誰かにしかできないことがエラいとか、特権になったりってのは違うわけ。みんなができるようになればいい。近くのヤツが寂しそうにしてるとか、辛そうにしてるのは見たくない。

 

加藤 超パーク論だね。

 

藤原 みんな何かになりたがってるのかね。

 

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公園みたいなモノやコト

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加藤 公園について思うことってある?

 

藤原 ねどこやね。セックスとホームレス。模範解答。

 

加藤 いやいや。これ、オシャレなマガジンだから。

 

藤原 営業妨害ね(笑) でも健全だと思うけどね。ホームレスがいられる公園。雑多なものも受け入れられる。敵がいないってことなんだから。小さいと喧嘩になるし、大きいとどこにいるのかわからなくなっちゃうんだから。

 

加藤 そう考えると公園が公園の役割を全うしてるってことってあまりないのかもしれない。誰もいないとか、寄り付きにくいとか。

 

藤原 公園でその街の治安がわかったりするって言うからね。ホームレスが寝てられるならまだいいんじゃないかい?

 

加藤 大人になると公園にいる理由がなくなっていくからね。

 

藤原 無駄に広すぎるんだよ。砧公園なんてどこからでもホームレスデビューできちゃう広さじゃん。あんなに広かったら誰も見つけられないよ。

 

加藤 あくまでホームレス目線(笑)

 

藤原 わるいひとたちじゃあないんだよ、臭いけど。昔、おふくろの妹が呑み屋やっててさ、そこによくホームレスが呑みに来てて、こどものころに「ぼうず」つってよくかわいがってもらってたのよ。酔っぱらいってホームレスじゃなくても大人はみんな怖かったからさ。別に気にならなかったな。名前はわかんないんだけど「あのおっちゃん」っていうひとがたくさんいたんだよ。っていうと公園は呑み屋みたいだよね。場末のさ。呑めないヤツだけお断り。

 

加藤 そういうひとを全て受け入れることができる心の広い公園っていうのをめざしたいね。

 

藤原 パーク。オシャレやね。

 

加藤 大工以外にこの先、何かやりたいことはないの?

 

藤原 NGO(非政府組織)だね。炊き出し。ボランティア。土地と木があるなら家を建ててもいいよ。それがパンクだからね。D.I.Y(Do it yourself)だね。手の届くひとたちがみんなしあわせになるには、みんな D.I.Y しなきゃ。求めるひとには分けていけばいいよ。みんなでがんばってる時にがんばってるふりとかしてるヤツはだめだよ。自分だけ儲かってやろうってヤツとか。小さなコミュニティでしあわせにならないといけないんだから。あ、思想は中道右派ね。

 

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