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コラージュとは …
現代絵画の技法の1つ。
通常の描画法によってではなく、
ありとあらゆる性質とロジックの
さまざまな素材を組み合わせることで
造形作品を構成する芸術的な創作技法。
ーWikipediaより抜粋

 

自らが素材の1つとなるかのよう、
流れる時間も、空間も瞬間も、
彼にとっては重要なアートピース。
アノニマスなグラフィックアーティスト
dabstarのニュートラル。

PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)

 

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加藤 dabくんの肩書きって?

 

dab プロフィールでは『グラフィックアーティスト』にしてる。グラフィックデザインもやるし、アート作品も作るから。デザイン事務所でスタッフをしながら、プライベートな時間で作品を作っているんだけど、ここ何年かで、自分の作品に対して「いいね」って言ってくれるひととか、イベントのチラシやCDジャケットで使ってくれるひとが増えてきて。そこからだね、もっと作ろうって思うようになったのは。

 

加藤 最近なんだね。

 

dab WEBで発表したりしてはいたんだけど、見てるのは友達だけで。それって自分のことを知ってるひとに見せてるだけだから、「いい」って言ってもらうことはあっても、なかなか広がらなくて…。つながりから逃げてたというか、そういうのが苦手だったこともあって、『それじゃあ広がらないのは当たり前だ』って気づいて。いろんなところに行くように。

 

加藤 なにかきっかけってあったの?

 

dab いろんなきっかけがあるんだけど ゴメスくん(PANORAMA FAMILY)のCDのデザインをしたのがきっかけで、Kit GalleryのCHABEさん(CUBISMO GRAFICO)を紹介してもらって、その時はじめて会ったことないひとにちゃんと見せに行ったんだよね。当たり前のことかもしれないけど、自分にとってはそこが岐路で。そのあたりからいろいろな展示やイベントに呼んでもらうようになって、ANAGRA(NEUTRAL #005参照)もそうだけど、行くと誰かとつながるから、そこで刺激を受けてまた作品を使って、今に至ってる。

 

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加藤 『コラージュ』って手法を選んだ理由は?

 

Dab コラージュって切って貼るだけだから。描くのって大変じゃん。絵の才能ないし(笑) あとはもともとこういう表現をはじめようと思ったきっかけが学生時代の友人の手製のコラージュだったんだよね。友達の部屋の壁に、額に入れて飾ってあるコラージュ作品があって、それがすごくカッコよくて、当時『コラージュ』って言葉すら知らなかったから「これ何?」って聞いたら「自分の好きな雑誌を切って貼った」って言ってて。ボクも家に帰って好きなページを切って貼ってみたんだよね。

 

加藤 コラージュと言えばパンク。

 

Dab ボクにとってはまさにそう。手法としてはもっと昔からあるけれど、パンクロックはずっと好きで、そのライブのチラシとかレコードのジャケットや服装でコラージュが使われてることも多くて、絵を描くとか写真を撮るっていう『芸術』よりも、好きなモノとして自然としみ込んできたんだと思う。別に構えなくてもいいんだって。いわゆる学校で習う『美術』とかって、意味や意図を求められたり、技術が評価の基準だったりして、どっちかって言うとそういう杓子定規な考え方よりも、描きたいように描けばいいじゃんって思ってたから。

 

加藤 ぼくも実はこどもの時にコラージュはまってて。アイドルの写真とか、マンガの好きなコマとか、切って貼ってた(笑)

 

dab それいいね。意外とみんな『コラージュ』って思ってないかもしれないけど、同じようなことはやってるんだよね。例えばメールやプリクラも、写真に文字やスタンプをコラージュしてるし、手帳にシール貼ったりするでしょ。あれも言ってしまえばコラージュ的な発想。「どこかから何かを切り取ってきて、置いてみて、別の見え方になる」のであれば、それはもうコラージュ作品だよね。

 

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加藤 料理みたいだね。

 

Dab そう。ぼく、料理も好きなんだけど、実は料理もコラージュに似てるところあるなと個人的には思ってて。同じような素材や調味料でも、作るひとによってちがう。

 

加藤 確かに、どの素材を選ぶか、どの調味料をどのくらい使うかとかで変わってきますね。ちなみに素材ってどうやって選ぶんですか?

 

Dab 『好み』ってのは影響して来るけど、50年代〜70年代のアメリカの広告とか雑誌が好きで選ぶことが多い。昔の広告って写真じゃなくてイラストレーションが多くて。今ならCGでできる表現もイラストレーションに頼ってた部分が多くて。その代わり、たとえば『車が飛んでる』とか、自由な表現ができたし、その時期の自由な発想の絵が好きなんだよね。タッチや世界観も。70年代くらいになると写真も出てくるんだけど、いまと違ってザラッとしてて、いいよね。現代の素材でも作るけど、好きなのはそういう素材。それを組み合わせた時に一体感が出るようにPC上で自分の好きな色に変えたり、時にはノイズを加えたりして使ってる。変な手間がかかってるよね。まわりくどいというか(笑)

 

加藤 どこから探してくるの?

 

Dab 古本屋で買ったり、いまはインターネットの画像検索も多い。立ち読み感覚で、いいなって思った素材をひたすら集めてる。『鳥』の写真がほしいなって思った時にないこともあるから、常に。カレーを作るために八百屋さんに行くんじゃなくて、週末に八百屋に行って美味しそうな食材をたくさん買っておいて、その時に食べたいものをその中から作るっていうのが近いかな。こういうイメージで作ってくださいって言われて作ることもあって、そういう時こそ選択肢が多い方がいい。あまり制限しないで、いろいろ盛り込んでみるっていうのも面白い。

 

加藤 言葉にも似てるかもしれない。

 

Dab フレーズだよね。素材の1つ1つが。

 

加藤 組み合わせは無限だし、海や空の色を「青」って言葉を使わずに想像させることができるとか。

 

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Dab コラージュの魅力はそこだよね。無限の可能性と、一瞬のひらめき。その人の脳内で起こってることだからどんどん変わって行くこともあるし。そうそう、夢にも近いんだよね。時間軸が歪んでいたり、物の大小が狂っていたり、色がおかしかったり。明らかに奇妙なことが起こっているんだけれど、それも自分の意識下で作ってて、その非現実感が面白い。

 

加藤 あー夢ってコラージュかも。

 

DAB こういうの作ろうって思ってても、途中で気づいたら無意識で方向転換していて、脇道に入っちゃったりとか、まさに夢だよね。結果がよければそれで良いかなって。最初に作ろうって思ってたのはまた作ればいいんだから。そんな脇道作品に限ってシリーズ化されたり。

 

加藤 意図せずに傾向として浮かんで来るものこそ、実は自分の中のテーマだったり。

 

Dab あとは違和感を大切にする。違和感を感じたところがヒントだったりするから。

 

加藤 違和感の連続のおかげで作品からいろんな声が聞こえてくる気がする。

 

dab 仕掛けが多い方が見てて楽しいしね。そういうのは好きだし作るときも意識してる。目に見えてる部分の面白さだけじゃなく、折り重なった素材同士の化学反応とか。「THE PICTURE BOOK OF NOWHERE LAND」っていう作品集に登場する不気味な民族の下地が、実は陽気な50'sのピンナップガールのお姉さんだったり(笑)

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THE PICTURE BOOK OF NOWHERE LAND より

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加藤 コラージュの特性かもしれないけど『色』の多さが混沌というかカオスを生んでるのかなって思ってたんだけれど、「THE PICTURE BOOK OF NOWHERE LAND」を見て、色ではないんだな、と。むしろモノクロームの中に鮮やかさを見たというか。それが不思議で、すぐに話を聞きたくなって。

 

Dab そもそもコンビニでカラーコピーが手軽じゃなかった時代のパンクロックの無骨でシンプルな表現がルーツだからかな。モノクロの方が情報量が少ない分、 メッセージがダイレクトに伝わったのかも。いい意味での泥くささというか。

 

加藤 タブロイド誌の文字を切り抜いたりってのもそうですよね。

 

Dab カラフルなものも好きなんだけどね。モノクロの強度もいいなって。あとは100点満点中、色の要素が30点あったとして、で、モノクロにした時に70点の作品でいいのかって言ったらやっぱり100点のものにしなくちゃいけなくて。となると、何で30点を補うかっていう。

 

加藤 今回の場合は設定が圧倒的によくて、その30点は余裕で上回りましたよね。すごい。写真やイラストだけじゃなく、文化やその裏の物語、文脈もコラージュしてるというか。

 

Dab コラージュだけじゃなくて、モノ作ってるひとってみんなそうだよね。きっと。ひとそれぞれだろうけど、ぼくの場合は、自然とふだん自分が考えてるアイデアや文脈が、 意識しなくとも作品中に盛り込まれてしまう。Dabくんっぽいよね、って言ってくれるひとがいるのはそこだと思ってるし、それを感じてもらえるのはありがたい。

 

加藤 くらしの中で感じてることですよね。

 

Dab そう。自然と出ちゃう。

 

加藤 でも生活感ないっすよね。サングラスもそうだけど。

 

Dab だね(笑) でもこのサングラスも何かコンセプトがあってかけてるわけじゃあなくて、親友からプレゼントしてもらったものだから日頃から身につけていたいっていう。それに、度が入っているから日常生活でも欠かせなくて。あとは、いろいろなものを見るのに、ちょっと壁を作りたいというか、壁を置くことで少し距離をおいて見たいってのはあるけれど、まぁ結局は照れ隠しだよね(笑)

 

 

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公園みたいなモノやコト

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dab なかなか公園って行かないよね。大人になると。こどもの時って狂ったように行ってたのに。雨がふると絶望的だったくらい。でも行かなくなったよね。じゃあいまおとなになって、公園に行くときっていつだろうって考えたんだけど、ニュートラルになりたい時かなって。放っておいてほしいというか、何もない状態になりたいとき。公園が何をしてくれるってわけじゃあないじゃない。意外とそういう場所ってなくて。静かなカフェがあったとしても、店員さんのやりとりは必要だし、時間は気にしちゃうから、違うよね。

 

加藤 ニュートラルになれる瞬間ってあります?

 

Dab コラージュする時にカッターマットを置いて、その上に切り抜く素材を並べて、 カッターやピンセットを取り出して準備するんだけど、その時かな。呼吸を整えてクリアになる瞬間。これは、いろんなことに言えると思うんだけど、余計な事を考えず、できるだけ空っぽでニュートラルな状態にして、時に立ち止まって俯瞰で眺めたり、自分を裏切ってみたり、視野を広く持っておくことが大切だと思うな。

 

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DABSTAR (ダブスター)

1976年、三重県伊勢市生まれ。グラフィックアーティスト。デザイン事務所に勤務する傍ら、デジタルとアナログ、コラージュやドローイング、ペインティング等をミックスした作品制作を続けている。また友人達と独自の視点で日本のインディー作家を紹介するサイト「YEALO!」を主宰している。

http://dabstar-graphics.tumblr.com
http://yealo.jp

 

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