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新プロジェクト「あなのあな」は、アートシーンにぽっかりあいた「あな」に、さらに「あな」をあけて、『つくるひと』と『みるひと』を、つなぐトンネルであり、ぼくらのくらしをよくするアートの楽しみ方の提案です。

 

ルールはかんたん。

 

無作為に選ばれた『みるひと』が、名前も顔も知らない
『つくるひと』、に対して、10の質問を考えます。

『つくるひと』が答え、『みるひと』が、読みます。

『つくるひと』は半蔵門のANAGRAが選びます。
『みるひと』に向けてPARK MAGAZINEが編集します。

 

PHOTO&TEXT:JUNYA KATO(PARK INC.)

 

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細野 記念すべき第一回目「あなのあな」のゲストはANAGRAにて2014年7月16日から29日まで FUKUMOTO Shinji EXHIBITIONを開催中のシンジ。そして、シンジに10の質問を投げかけてくれたのは43歳・篠原さん(肩書き?)。アートに全く関係ないひとに「アート」についての疑問を投げかけてもらうことで、『つくる』側と『みる』側の意識のコミュニケーションをはかります。

 

 

 

Q.01 つくりはじめたきっかけ

 

シンジ 作品として意識し始めたきっかけは高校…いや…中学…いや、高校3年生の時に大学受験を意識して、それまではグラフィティやパロディとしてのイラスト作品を作ったりはしてたんですけど、本当に自分にしか描けないものを描き始めたのがきっかけですね。当時は動物や植物をモノクロで描いてました。好きなものを描くという感じで。

 

細野 じゃあきっかけは大学受験?

 

シンジ いや、もっとさかのぼれば小学校の時に、絵を4、5時間ずっと描いてた時があって。なぜかブラックバスを描こうって(笑) その当時、変な漫画も描いていたし、絵を描くのも漫画を描くのも一緒だったから、好きだから描きはじめたってことをきっかけにするのであれば、子供の頃からずっと、ですね。

 

 

Q.02 ひらめきのタイミング

 

シンジ ひらめき…待ってるんですけどね…(笑) でもあえてあげるなら手を動かしてる時ですね。頭だけ動かしてても、ひらめかないです。絵を描いてる時に次に描きたいことが見えてきて、その次、その次、という感じでとにかく手を動かしてますね。なので、次が見えてしまうと、いま描いてるのに飽きてしまうときとかもあります。

 

細野 外から影響されたりすることは?

 

シンジ 展覧会とかではあまり影響されないんですが、本屋ですかね。古本屋や、図書館。

 

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Q.03 趣味と職業の線引き

 

細野 そもそも趣味があるのかっていう。

 

シンジ 趣味…は、つくることですよね。絵を描くのはもちろん、料理、ねんどこねたりするのも好きですよ。押し花も好きですし。

 

細野 押し花(笑)

 

シンジ でも「たのしい」だけじゃ面白くなくなってきたんですよね。たのしいだけならやらなくてもいいなって。で、大学卒業すると同時に「就職しない」っていうのを母親に告げたら「絵なんて趣味でもええんやないか」って言われて。でも僕からすれば、趣味で絵を描く方がわからん。そっちの方が違和感があって。趣味で絵を描くくらいなら遊んだ方がいいし、そもそも趣味じゃあ本気になれない。

 

細野 お金が稼げてるかどうかというのは重要?

 

シンジ いや、それよりも、外からの反応がもらえるかもらえないか、が重要な気がしますね。

 

 

Q.04 収入は?

 

細野 今回の企画にふさわしい誰もが聞きたい質問だよね(笑) どうやってアートで稼ぐのか、そしてそもそも収入があるのかどうか。

 

シンジ バイトでメシを食ってて、絵の仕事でいただいたお金はボーナスって感じですね。そしてなぜか冬(10月〜1月)にまとまったお金が入ることが多いです。夏は最悪ですね(笑) 眠る前にお金のことを考えるのだけはしないようにしています。イライラして眠れなくなっちゃうんで。ストレスはそこだけですね。働かなきゃいけないストレスはないけれど、お金がないストレスがある。毎日たのしいからいいんですけど。

 

細野 バイトでもらうお金と、絵でもらうお金と、分けてるの?

 

シンジ 絵でいただいたお金は生活費には回さないですね。次の作品のために使うか、今まで関わってくれた友達や作家に還元できたらと思っていますね。余裕があれば作業の環境をよくするために使います。色鉛筆をちょっとええもんに買い替えたり。収入によって色鉛筆の長さが変わってきますね。お金がある時は、長い。いまはめちゃめちゃ短くて、手じゃないと削れないです(笑)

 

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Q.05 戦略はありますか?

 

細野 そもそも戦略もってやってるアーティストってどれだけいるんだろう。

 

シンジ 絵が上手いひとや器用なひとなら戦略たてれるかもしれないですけど、そこまで器用じゃあないですし、描いた絵が褒められたらいいなぁっていうのがあるんですけど、戦略がないのはバカっぽい感じにも見られますし、本当はあるって言いたいんですけど、ない、ですね。

 

細野 シンジの作品とか活動とか見てると考えてそうだけどね。

 

シンジ 考えてはいるんですけどね、「まぁいいや」ってなる瞬間があって…。素直に生きたいって思ってるし、言いたいことはいいたい。となると、アーティストになりたいとか戦略とかではなくて、そういう生き方ができるかどうかが大事で、それが出来そうな職業が「アーティスト」だったんですよね。だから作家になるのが目標で戦略たてて活動してるひとはギャップを感じますね。素直に生きれるのであれば作家じゃなくてもいいんで、戦略はいらないです。

 

 

Q.06 ターゲットへの意識

 

シンジ 年齢とか性別とかでは考えてなくて、身近にいるひと。顔が見える相手を意識して作ってますね。晃太朗(細野)さんもそうですけど、そのひとたちや、そのまわりにいるひとたちを喜ばせたいですね。「あいつヤバいよ」とか、誰かに紹介したいって言われたい。それをつなぐための戦略はあります。戦略というか、一緒に呑みにいくとかですよね(笑) 届けるための方法というか。仕事を取るために、名前も顔もわからないひとに向けて何かを作ってことはあまりできなくて。だから、一緒に作ってるひとらも客というか。そのひとらにダサいって言われたらもう立ち直れないですね。ふさぎ込みますね(笑)

 

細野 オープニングパーティが終わったあとに、シンジが「大好きなひとたちと大好きな場所でたのしく遊んで行くために」っていうようなことを言ってて、それがすごく嬉しかったし、それに尽きるのかなと。

 

シンジ 素直に生きたいって気持ちは中学高校からあって。当時から、みんなで面白い環境みつけて遊んでて。大人になったら忙しくなってそういうことが出来なくなるって聞いてたけど、頑張ったらこのまま行けんちゃうかな?って思って。やりたいことが明確にあって、ひとに会いに行けばすごいたのしいし。毎日一緒にいても飽きないひとたちがいて、こうしてずーっと遊んでいきたいなって。やりたくないこともたくさんあるんですけど、やりたいことがあればやれますね。

 

 

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Q.07 芸術の価値・評価をどう考えるか

 

細野 評価っていうのがそもそもお金なのかなんなのかというのが試される質問だよね。

 

シンジ お金ももちろんあると思うし、褒められたいってのもあると思うんですけど、つまりモチベーションですかね。顔を合わせて関わってきたひとたちから褒められるってすごくモチベーションにつながるし、無敵状態になれる。ほかのことなんてどうでもいいと思えるくらい純粋に描ける。だからある程度の評価は必要だと思います。誰にも見せずに家に引きこもってただひたすら絵を描くほどタフじゃないし、評価を得るために戦略を立てて絵を描けるほど器用じゃない。素直でいようと思ってやってると時々、言ってることが変わる時もあるし、矛盾する時もあるんですけど、自分ではしっくり来てて。…わがままなんすかね(笑)

 

 

Q.08 海外への意識

 

シンジ いままで日本を出たことがなくて。だから最近ですかね。それまでは漠然とSFみたいな感じのイメージで。飛行機こわいんす(笑)

 

細野 行ってみたいとは思う? それこそ考えてるより行動というか。それともはるか遠い世界って感じ?

 

シンジ 行ってみたいとは思いますね。それこそ、昔から雑誌とかでも海外のひとの言ってることに共感できたり、気持ちが伝わるような気がしてて。だから、一歩踏み込んでパスポートを取りに行く方法を調べたりしてますよ(笑)

 

細野 行くとしたらどこに行きたい?

 

シンジ ロンドン、スペイン、トルコ、メキシコ。雰囲気ですけどね。新婚旅行とかで行かないところに行きたいです。

 

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Q.09 作品を作るタイミング・時間

 

細野 描きたい時に描くのか、果たして描かざるを得ない時があるのか。いろいろあると思うんだけど。描き始めのタイミングも含めて。

 

シンジ 基本的にどの時間帯でも描くんですけどね、でもタイミング的に多いのは夜ですかね。自分のテンションがあがって、ちょうど麻痺するというか。いま、みんなでシェアして住んでるんですけど、夜中ってみんな寝てるし、静かで、でもテンションあがるし、コソコソやってる感じが好きなんですよね。

 

 

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Q10 活動サイクル

 

細野 年間の活動サイクルとかは決めてたりするの?

 

シンジ まったくないですね。でも東京に来た理由の1つに、いままで関西でやってきたことをまずは自己紹介していくっていうのがあったんで、そのために東京に来てからのこの1年は動いてましたね。で、作品ができれば展示会として出させてもらって。逆にいついつに展示会があるからそれまでに作るってことはあまりしてなくて。〆切りあると守りに入ってしまう気がして。ただ、今回のANAGRAでの展示に関しては、関わってくれるひとたちが多いので、僕自身がわがまま言ってダラけないように、全部作る前に展示会のスケジュールを決めて、それに向けて作品数を増やしてようにしました。

 

細野 今回のようなコラボレーションは続けていこうと思ってるの?

 

シンジ これはこれで続けて行きます。作業している間に次にやりたいことが見えてくるんで、次の次くらいまでは見えていて。今回の展示はそのステップ1かなと。今回の作品に共感してくれるひとをまた集めて、人数を増やして、いろいろなことをやっていきた。やっぱりひとりじゃやれないことがあるんで。

 

細野 最終的にはどうしていきたいの?

 

シンジ 映画のイメージはあって、うーん、映画というか一つの国というか、僕の中の超最高って言える街と言うか。その理想の街を部隊にした映画というか。今回の展示会はその映画でいうと、パンフレットのキャラクター紹介の1ページ目という感じですね。ゆっくりじっくりですけど。あとは、見たことない景色を作れる仲間を集めていきたいですね。だから、それを広げるために、自分を認めてもらうために絵の表現があって。あいつが言ってることなら間違いないって思ってもらいたくて。そうして自分のこと好きな人とやっていきたいですね。ずっと自分は脇役と言うか、黄レンジャーくらいで、本当は赤レンジャーを探してたんですけどね、最近、足元からだんだん赤くなってきましたね(笑)

 

 

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フクモトシンジ / SHINJI FUKUMOTO

ペインター
FRENCH ERECTLO , Sample

1986年生まれ。2013年よりベースを京都から東京に移す。表現ジャンルの境界にある汽水域をテーマに作品を制作。

http://fukumotoshinji.tumblr.com

 

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細野晃太朗 / KOTARO HOSONO

XionTokyo ANAGRA
キュレーター / デザイナー / ファウンダー
1986 Born in tokyo

ANAGRA(半蔵門)

102-0093
東京都千代田区平河町1-8-9 地下一階
B1 1-8-9 hirakawa-cho chiyoda-ku TOKYO
http://www.anagra-tokyo.com/
info@anagra-tokyo.com
Tel: 03-6826-8128

 

 

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